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彼は主張していた。
どうしても餅が食べたいんだと。

品川の隅っこで 「餅」と叫び続けていた。

今日、私はとても気分が優れなかった。
着席しただけで、こみ上げる吐き気。
(つわりではない。多分)
おそらく、月経前症候群ではないかと思われるこの症状。

定時を迎え、急いで会社を出る。

駅に着く。電車が到着していた。

駆け込む、ふと気が付くと。

「お餅が食べたい!!」と連呼する幼い声。

その親子は、駅のホームで良く、コンビニで買ったおにぎりを仲良く食べている。
今日も然りだ。

父:まさる(35歳)
息子:圭太(4歳)

※名は私が勝手につけた。

圭太は主張していた。

「お餅が食べたい」

目の前に停車している電車に目もくれず、
まさるを見つめ、激しく主張していた。

「お餅が食べたい」(半泣き)
「お餅が食べたい」(半泣き)
「お餅が食べたい」(半泣き)
「お餅が食べたい」(半泣き)
「お餅が食べたい」(半泣き)
「お餅が食べたい」(半泣き)

電車が発車してもホームの中心で主張し続けていた。

まさるは終始笑顔で、圭太の主張に耳を貸していた。
まさるは余裕だった。
まさるは手馴れていた。

いつしか、私の顔に広がる笑顔。
圭太は私を癒してくれた。

圭太、君は今日、お餅を食べることができなかったけど、
そんな君の一生懸命な主張に私は心を打たれたよ。

少年よ、大使をいだけ。
少年よ、思うがままに生きなさい。

私も、自分がしたいように主張してもいいんだよね。

ケーキが食べたい。