いじめがなくならないのは、人間の機能として備わっているからなんです。
機能を発動させないしくみを作ることが今の学校教育の現場に必要なんです。
目次
ヒトは「いじめ」をやめられない by中野信子さん を読んだわよ 【読書記】
いじめにまつわる辛いニュースを目にすると、なぜこうも次々と犠牲者が出てしまうのだろうか、一体どうすれば子どもは安心して学校にいけるのか、親は安心して子どもを送り出せるのか、知見が欲しくて読んでみたよ。
いじめはなくならない
もともとの人間の機能として、いじめと言えるような行動、例えば社会的排除(共同体にとって邪魔となるものを排除する行為)や制裁行動(共同体にとっての邪魔物を懲らしめる行為)は種の保存のために必要な行動とするところがあるため、まずいじめをなくすことは不可能ということになります。
しかも、これらの行動を取るときには、快感すら覚えるというではないですか。こわいですねー。
「共同体を守るために邪魔ものをやっつけた俺/私、正義!」という快感をいじめによって味わうらしいんです。
そして、子どもたちに限って言うと、共感性が未発達ですから、いくら「相手の気持ちを考えて」、などの道徳を教え込んだところで、このような快感を伴ういじめをやめられるわけがないのです。
必要なのはいじめをすると損するシステム
学校内を巡回する第三者の目を入れる、監視カメラを投入する、法に触れるような行為であれば警察に通報する、といった、「いじめをするのは損である」と思わせるシステムを取り入れるのが有効なはずです。
何で取り入れないのだろう?
反対する人は、監視されるとやばい、後ろめたいことをしているから、反対するんだろうな、と私は思います。
子どもの大切な命がかかっているのに…そう思う関係者なら反対する理由はどこにもないと思います。
子どもたちの人間関係を流動的にする
いつもいつでも何時でも1年間同じクラスメイトと行動を共にすることを廃止すればいいんです。
教科ごとにクラス替えをする、レベル別にクラス替えをする。
いじめが、共同体を保つために邪魔者を排除する行為、ならば、保つべき共同体が固定されないようにすればいい。
学校教育のあり方を変える
今の学校教育って、忠誠心があり、従順な軍隊を作るために、隊員が皆平均的に同じことが出来るようにするための昔の教育がベースになったままと言えるんじゃないでしょうか。
そもそもが、同じような能力の域に達しないものは邪魔者として、排除される環境なんですよね。
これじゃ、学校教育の場がいじめの温床になってますよね。
皆が皆、同じことをできるようにする。どんなに苦手なことも、得意なことを伸ばす時間を削ってまで、できるようになるまでやらせる。
それって今の時代に合ったものと言えますか?
もっと、個人が個人の、そもそもの個性や能力を伸び伸びと伸ばせる場に変わる必要があるんじゃないの?って思いますけど。
結局、黙々と文句を言わずに自分を壊してまでも国や会社に奉仕する人間を作るシステムとして必要なんですかね。
そうやって、この国は衰退していくんですかね。
読み終わって
子どもを持つ親として、個人として私には何ができるのか。問題や課題が壮大すぎて、どうしていいのやら…。
ただ、いじめってこうやって発生していくんだ、ということがわかったのは大きな収穫でした。
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子どものいじめにフォーカスして、読後のまとめをお送りしましたが、本書には性別いじめ撃退法なども書かれています。
ぜひ、この本は広く読まれるといいな、と心から思います。