『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』幡野広志著の感想 悩みが解決しないと絶望を感じている人に一度は読んでほしい

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難治性多発性骨髄腫、余命の中央値3年。同じ歳くらいの子どもがいる、少し年下のフォトグラファー 幡野広志さんの本を読みました。

健康でいるからこその使命感を感じたし、

今何らかの事情で、苦しい思いをしてる方には、心から読んでもらいたいと思いました。

内容は重たいのだけれど、とても思いやりを感じる本になっていると思います。

印象に残る部分は全てなのですが、中でもこれは…というものをいくつか紹介してみます。

 

「自殺をしてはいけない」というクソバイス

死んでしまいたいと切実に思っている人に、「自殺はダメ!ゼッタイ!」とかいう人は、
その人が”今” “どれだけ苦しい思いをしているのか“、を置き去りにしていると言えませんか?

「自殺はただの逃げでしかないから」
→なんで?なんで逃げてはいけないの?こんなに苦しくつらいのに。

「周りの人が悲しむから」
→なんで?私の今苦しくつらい気持ちはどうしてくれるの?なぜ自分のためでなく、周りの人のために生きなくてはいけないの?

「生きていればいいことがあるから」
→は?保障してくれんの?そのいいことってなに?いつあるの?ねぇいつまでこの苦しみに耐えればいいの!!?

ってなりませんか?

著者は、癌によるあまりの痛みと苦しみに何度も自殺を考えたといいます。その生活の壮絶さを読むと、「そうだよね、早く楽になりたいよね」と思わずにいられません。

私だったら、苦しんでいる人を目の前にして、なんて声をかけてあげられるだろう。

 

親に恩返しをするために子供は生きているわけじゃない

これは、家族全員の愚痴をいつも聞かされ、学校ではいじめを受けていて親に相談も出来ず、これ以上生きていても楽しいことなど何もないだろうな、と達観した女性の話に出てきた。

この方は、「育ててもらった恩はちゃんと返さなくちゃね」と病院関係者に言われて、解せなかったという。

確かに、生んでと頼んでもいないのに、苦しくてつらい、生きてても全然楽しくなんかない上に親の老後の世話だ?介護だ?なぜだ?という気持ちもわからなくもない。

“親の老後を世話するために生まれてきたわけじゃない。介護するために育てられたわけじゃない。”

人は誰しも、自分の人生を生きるために生まれてきたんですよね。

 

馬鹿とは付き合わない

これは、子宮癌で17歳の頃に子宮全摘出をした女性の話に出てきました。

「子どもはまだなの?」

といった言葉を何度となく他人からかけられ、傷口がえぐられる。

事情を知らないんだし、悪気がないんだし、仕方ないじゃん、という論理はここでは成立しない。

子どもがいないことの裏側になんらかの事情があるかもしれないことが”想像できず”に、人の心を土足で踏みにじる、”想像力に欠けたバカ”とは離れて、自分で自分を守るようにしているんだとか。

私は、少なくとも自分にとって大切な人に対しては、想像力に欠けたバカになりたくない。

 

嫌なら辞めちゃえば良いと言うのは強者の論理

育ってきた環境のせいで、我慢を強いられてきたり、家族や周りに抑圧されてきた人たちにとっては、辞める、という選択肢を選べないどころか、思いつくことすらない。

例えば、長い間親から虐待を受けてきて、命からがらその家を抜け出した1人の若者がいたとする。

若者は1人で生きていくためにお金を稼ごうとするが、社会がどういうものなのかもよくわからず、いわゆるブラック企業的な会社に勤めてしまったとしよう。

こういう人に、嫌なら辞めちゃえ、と言えるのはおそらく、

親に虐待もされず、
大学も親のいる家から通えて、
あるいは社会人になっても住む場所と食べ物に困らない、
ホワイト企業で正社員待遇で運良く働ける強者、なんだろう。

これが強者の論理である。この強者は大体において、安全な環境にいるわけで。

筆者はこうも言っている。

“安全地帯から投げられた倫理や道徳のボールは必ずしも受け取る必要はない。”

 

家族も自分の手で選ぶ、血のつながった親でも切っちゃっていい

親に不当に扱われるようなら、逃げてもいいのだと、筆者はいう。

例えば、虐待、ネグレクト・・・。ここでふと思った。

今の日本って”逃げたい人、特に子どもの受け入れ口”が圧倒的に足りないのでは。

未成年の子どもはそれがどんなに腐った親でも、自分の命をつなぐためにはそこにいるしかなかったりする。血のつながった親でも切ってしまいたいときに、安全に逃げ込める場所はあるのか。

つくづく、この社会っていうヤツは、強者の論理で成り立っているのだな、と絶望すら感じてしまう。

 

NASAの定義する直系家族

これがですね、非常~~~~に興味深かったんですよね。

宇宙飛行士の人たちが宇宙に旅立つときに、直径家族は特別室で見守ることができるらしいんです。何か不測の事態が起きた時に、NASAによる手厚いサポートを受けられるように、だそうです。

NASAで定義されている直径家族は、配偶者、子ども、子どもの配偶者、までなんだそうですよ。お気づきですか?親が入ってないんですよ。自分で選んだ家族だけが直径家族なんだそうです。

そっか、家族も選んでいいんだ。

 

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私はあまり風邪もひきませんしね、どこも痛くないしね、健康体なんですよね。屋根のある家に住んでいるし、稼ぎは少ないが仕事もある。家族もみな健康だ。

それだけ恵まれてるのに、どれだけ真剣に「自分がしたいからそうする」ことを選んで生きているだろうか。って思わずにいられない。

たくさんの人に、心から読んでほしい、と思う。